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頭痛
頭痛は非常にありふれた症状であり、日本人の4人に1人が頭痛に悩んでいる と言われています。頭痛には様々な種類がありますが、当科に受診される方の 多くは緊張型頭痛と片頭痛です。
片頭痛
女性に多く、文字通り頭の片側が痛いことが多いです(両側性の方もいますが)。
特徴として、
- 閃輝性暗点(視野の周辺に多いです)
- 嘔気・嘔吐(特に嘔吐が特徴的です)
- 光や音に対する過敏
- 体を動かすと痛みが強い などがあります。
通常の発作止めは有効ではなく、トリプタンという専用の発作止めがあります。 また発作が非常に強い時期に内服しても効きづらいため、早めに内服することが大事です。 また月に2,3回と頻度が多い方には予防薬もありますが、毎日内服しないといけないこと、かならずしも全員に効き目があるとは言えないことなどが難点です。
緊張型頭痛
いわゆる”肩こり頭痛”で、持続的な締め付けられるような痛みが特徴です。 片頭痛のように「片側だけ」という方は少なく、頭全体、目の奥、後頭部などの痛みを訴えることが多いです。 また天候の変動や家庭・職場の環境の影響を受けやすい印象があります。
この2つの頭痛はCTやMRIを撮っても診断はつかないため、丁寧な病歴聴取や診察が非常に大事です。
上記の2つの頭痛は命にかかわるものではないので、あわてて受診しなくても大丈夫ですが、頭痛の中には、急を要する”危険な頭痛”ももちろんあり、多くの場合は脳血管の病変に関係しています。
当院では緊急性の高い頭痛が疑われる場合、必要に応じて積極的にMRIなどの画像検査を施行しており、速やかな診断・治療を心がけています。
危険な頭痛
急に起こるもの
- くも膜下出血
- 脳動脈解離
徐々に痛くなるもの
- 脳静脈洞血栓症
くも膜下出血
かなり有名な病気で、頭痛外来を受診した方でこの病名を知らない方はあまりおりません。動脈解離(後述)、動静脈奇形、外傷などによっても起こりますが、大部分の原因は頭蓋内の動脈瘤破裂です。命に関わる場合が多く、緊急の処置が必要です。
頭痛の特徴は
- 突然発症で、何時何分に痛くなったかが、わかるくらいの急な発症。
- 痛みは強いことが多いですが、軽い人もいます。
くも膜下出血は女性に多い傾向があり、特に家族にくも膜下出血を経験した方が、上記の述べた特徴を有する頭痛を発症した場合は必要です。
脳動脈解離
脳血管は3層構造になってますが、その一番内側の層(内膜)が損傷し、その結果、血管が断裂することによって生じます。
2008年から2013年にかけて当科で入院治療した動脈解離の患者さんは38人で、そのうちの8割弱は男性でした。発症した年齢は40〜50代の方が多く、中年男性に多い病気と言えます。
頭痛の特徴は
- 発症は突発のときもそうでないときもあります。SAHほどではないが、 比較的急に起こり、その後やや増強するという経過が多いと印象です。
- 頭痛持ちではなかった中年男性(40〜50代)に多い。
- 痛みの程度は我慢しようと思えばできるくらいだが、市販の鎮痛薬を飲まないと仕事や家事に支障がでる程度です。 このため、頭痛のみの方は受診が遅れ、当科のデータでも 頭痛のみの方が受診するまでの平均日数は1週間という結果が出ています。
頭痛で終わる人が大部分ですが、中には断裂の結果、血管全体を塞いで 脳梗塞になったり(当科では8人)、また断裂が最外層まで届くと、 血管外に血液が漏出し、くも膜下出血(当科では4人)の原因にもなります。
脳静脈洞血栓症
脳静脈が血栓などで詰まった状態です。発症率はそれほど多くはありませんが、 診断がしづらく、原因不明の頭痛および意識障害には常に念頭に置く必要があります。
頭痛の特徴は
- 徐々に頭痛が増強し、意識障害、麻痺などが出現することがあります。
- 経口避妊薬を内服している若い女性に発症する場合があります。
治療の基本は抗凝固薬という薬の点滴ですが、当科では脳血管内治療の経験を活かし、点滴治療を十分に行ってもなお、意識障害が進行する患者さんなどを対象にカテーテル治療として血栓吸引術などをいつでも行える体制を取っております。