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頭蓋内脳血管狭窄に対する血管拡張術
頭蓋内脳血管狭窄
頭蓋内脳血管狭窄とは?
頭蓋内脳血管狭窄とは、脳内の太い主要な動脈が動脈硬化の進行によって細くなる病気です。その主な血管は、内頚動脈、中大脳動脈、前大脳動脈、椎骨動脈、脳底動脈などです。脳内の血管は、動脈硬化性変化によって血管の内腔にコレステロールや脂肪あるいは血栓が溜まり、血管の内腔が狭くなり、脳梗塞を生じます。
すなわち、狭窄部位で形成された血栓によって血管が閉塞したり、ここからコレステロールの断片や血栓が剥がれて末梢の血管を閉塞することによって脳梗塞を来たします。過去に脳梗塞や一過性脳虚血発作の経験があり、頭蓋内脳血管狭窄を有する方は、脳梗塞の再発率が高いことが知られています。そこで、今後大きな脳梗塞を来たさないために再発予防の治療を行うことが大切です。
頭蓋内の内頚動脈の高度の狭窄を認めます
頭蓋内脳血管狭窄の治療
経皮的脳血管拡張術とは、脳血管の狭窄を小さなバルーンで広げる治療です。
全く症状がなく、偶然この病気が見つかった場合には、薬の内服による内科的治療を行うことが原則です。また、一度でも脳梗塞などの発作を経験された方の再発予防も、まずは薬の内服による内科的治療をお勧めします。高血圧症や高脂血症の治療を行い、抗血小板剤(抗凝固剤)を服用することは再発予防に効果があります。但し頭蓋内脳血管に狭窄病変を持った方の脳梗塞の再発は、内科的治療だけでは年間約8 - 12%に起こるとも報告されています。
頭蓋内血管専用のバルーンカテーテルとステント
薬物療法を行っていても脳梗塞の再発を繰り返す場合には、外科的治療、あるいは脳血管内治療を考慮する必要があります。外科的治療法としては、頭蓋外(頭皮等)の血管を脳内の血管と吻合する“バイパス手術”を行うこともありますが、その適応血管は限られており、一般的な治療法ではありません。
一方最近では、カテーテルを用いた脳血管内治療による脳血管拡張術も行われるようになってきました。これまではバルーンカテーテルを用いて細くなった血管を広げる治療でしたが、2014年夏に脳血管狭窄を広げる専用のステントが日本でも認可されました。バルーンに比べて拡張力は強く、再狭窄も少ないと報告されています。しかし、周辺の細い血管に脳梗塞が生じたり、血管穿孔による脳出血が生じる危険性もあります。その場合には重大な後遺症を残すこともあります。そこでステントの治療は、薬物療法では再発が予防できない場合や、バルーンで拡張した後に危険な血管解離が生じた場合などに、限定されています。この治療を勧められた方は、担当医にその必要性と危険性について納得できるまで説明を聞いた後に、治療を受けるかどうかを決めて下さい。
中大脳動脈狭窄に対する血管拡張術
脳底動脈狭窄症